秋の月は日々戯れに
1

夢を見た。

白無垢を着た綺麗な女性が、丁寧に頭を下げて「不束者ですが、どうか末永くよろしくお願いします」などと言う夢を。

意識が浮上しそうな気配を感じながら、寝返りを打って薄目を開けると、そこに夢で見たのとよく似た顔がすやすやと寝息を立てていた。

しばらくの沈黙の後にゆらりと体を起こし、目を擦ってからもう一度隣に視線を戻す。

やっぱりいる――けれど、流石に白無垢は着ていない。

身につけているのは白いワンピースで、そこから伸びた腕はとても白い。

はっきり言って、白いを通り越して青白い。

しばらくぼんやりと安らかな寝顔を眺めていたら、不意に彼女がパッチリと目を開けた。

まるで、寝ていたのではなく、寝たふりをしていただけだったように。

そして、いたずらっぽくふふっと笑う。


「妻の寝顔に見惚れてしまいましたか。朝ですからね、フレンチなものでよければ受け付けますよ」


楽しげに笑って目を瞑る彼女に、何を要求しているのか分かったから、一つため息を零して早々とベッドから下りる。
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