秋の月は日々戯れに
「お前の従兄弟は流石だな」と笑って返したら、後輩はふてくされたように膨れた。
「でも、どんなにいいものを揃えても、作る人の腕がないと元も子もないっすよね!その点で言ったら、オレの淹れ方が上手かったってことも!」
「淹れたのはサーバーだろ。お前は、ただセットしてスイッチを押しただけだ」
彼の言葉に、後輩がまた悔しそうに唇を噛み締める。
「で、でも!スイッチを押し間違えたら美味しく淹れられなかったっすよね!それで言ったらオレだって!」
「そんなに難しいボタン操作はいらないだろ。幼稚園児だって、教えればボタンくらい押せるんだ。そんなんで威張ってどうする」
うぐっと言葉に詰まった後輩は、最終的に
「それじゃあなんでもいいから、オレのことも褒めてくださいよ先輩!!愛美ばっかりずるいっす!」
本音を吐露して子供みたいに喚いた。
「……お前の家は広くて綺麗で凄いな。全部でなん部屋あるんだ?」
「それ、オレじゃなくて家を褒めてますから!ちなみに、向こうにもう一部屋と、あとその奥にウォークインクローゼット的なものがあります。でもそのクローゼット、なんか思ってたのと違って――」