秋の月は日々戯れに
自分で聞いておいてほとんど後輩の答えを聞き流しながら、彼はコーヒーを啜る。
何気なくチラリとテレビの横に置かれた時計に視線を移すと、確かに夕飯にはまだ少し時間が早かった。
「……ゲームでもするか」
何気なく呟いた言葉に、未だ部屋の説明をしていた後輩がすぐさま反応を示す。
「テレビとボード、どっちにしますか!あっ、オレ最近新しいゲーム買ったんすけど、それがまた何とも難しくて。良かったら、それとかどうっすか?」
どうか?と聞きながら、すでに後輩はいそいそとソファーから立ち上がって、テレビの電源を入れている。
「基本的にはゾンビを倒すゲームなんすけど、たまに普通の人間も出てくるんすよ。そいつらを回収しつつ、ゾンビの巣窟から抜け出すってゲームなんす。でも、そのたまに出てくる人間を間違えて攻撃したら、ライフポイントがまだいっぱいあってもゲームオーバーになるんすよ。でもあいつら、ゾンビみたいな勢いで飛び出してくるから、つい間違えて攻撃しちゃうんすよね。そんなわけで、めちゃムズイんすよ」
ざっくりと説明しながらゲーム機本体のスイッチを入れた後輩は、コントローラーを二つ持ってソファーに戻ってくる。