秋の月は日々戯れに
まさか、こんなにあっさり再会できるとは思っていなかったから。
もしかしたら、もう会えないかもしれないと覚悟していたから。
彼女は、呼びかける声に応える気配もなく、視線も一向に下ろさない。
「秋月さん」
試しに名前を呼んでみたら、彼女の肩が面白いほど大きく揺れ動いた。
どうやら、声が聞こえていないわけではないらしい。
雪はいつの間にかやんでいて、雲の切れ間から月がゆっくりと顔を出す。
満月から徐々に欠けていく、その途中の歪な月。
月光に照らされてますます透き通る彼女の足元と、際立つ肌の青白さ。
生き物の温かさをまるで感じないのに、やっぱり怖いとは思わなかった。
「そんなところで、何してるんですか」
もう一度、同じセリフを繰り返す。
今度は、呆れもため息も含まずに。
「なんでも一つ、言う事を聞くと約束しました。だからわたしは、ここに居るのですよ」
また無視されるかと思ったが、彼女はしばらくの沈黙を挟んでから口を開いた。
意味が分からず首を傾げる彼に、彼女は視線を下ろさないままにポツリと