秋の月は日々戯れに
「そういうのはさー、二人っきりの時にやってくださいよ。忘れてるかもだけど、今は来客中」
そう言ってチラッと彼を見上げた同僚の視線に、なんでこっち見るんだよ俺は悪くないだろ!と心で叫んでから、やや乱暴に持っていたカップをテーブルへと置く。
彼女が一人いるだけでも疲れるのに、そこに仲間が加わると疲労が倍になる。
自分の分のカップを手に彼はベッドに腰掛けると、出来たてのコーヒーに息を吹きかけてから一口含む。
「うん、馴染み深いインスタントコーヒーの味がする」
「それは良かったです」
そんな二人のやり取りを聞きながら、彼もまた独特の苦味と酸味を味わう。
なんとなしに向かい合って談笑する二人を眺めていると、やはり彼女の方の異様な肌の白さが嫌でも目に付いた。
正座しているおかげでスカートの裾に隠れてはいるが、もちろんいつもと変わらず足も透けている。
当事者達は至って自然に談笑しているが、彼にしてみればその光景に不自然さしか感じられない。