天神学園のお忍びな面々
「意外だな。学業なぞ興味を持たん男かと思っていたが」

冷笑すら浮かべ、牡丹が言う。

「文武両道など、武道家の初歩の初歩だろう」

こちらは笑みさえ浮かべない先輩。

それきり、両者は無言のまま睨み合う。

美緒を挟んで。

間合いばかりが詰まり、間に入っている美緒は、男2人の胸板に押されて困惑するやら赤面するやら。

そこに。

「おい」

2人を押し退け、甲斐が割って入った。

「美緒様が困っていよう。婦女子を蔑ろにして何が武道家か」

「……」

無言のままの牡丹の視線が、甲斐に向けられる。

彼は素早く右手で鯉口を切ろうとして。

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