天神学園のお忍びな面々
その事は、美緒にも分かっていた。

武の才には恵まれなかった美緒だが、それでも分かる。

甲斐では彼女には勝てない。

だから言うのだ。

「ディア!またお兄さんに酷い事して!」

「み、美緒様…?」

怪訝な顔をする甲斐。

美緒は、あの女刺客を知っているのか?

赤い双眸が。

「美緒~」

突如、ほにゃっと柔らかくキラキラした光を湛えた瞳に変わる。

「久し振り美緒!会いたかったわ!」

引き摺っていた人間をポイっと投げ捨て、少女はトテトテと美緒に駆け寄った。

美緒様危な…と言いかけた甲斐も毒気を抜かれるほどの緩々オーラを纏い、少女は美緒にハグする。

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