天神学園のお忍びな面々
イヴィル・キルドのダメージが残っているのか。

ヨロヨロと剣先を下げながら体勢を整える蘭丸。

何か、小さく呟くのが聞こえた。

「奥義…紅縞瑪瑙(べにしまめのう)」

それをレオが聞き取った時には既に遅し。

大振りの夜桜で、急所を下から上へ一気にかっ捌く!

「がっっっっっ!」

蘭丸もまた、完全に極意・斬鉄を習得してはいない。

故に奥義は未完成。

それでもレオの胸板に、大きな刀傷が刻まれる。

レオの流血、蘭丸の火傷。

共に深手には違いない。

天神学園では決闘茶飯事とはいえ、そろそろ看過できるレベルではなくなってきた。

1人の姫君を巡っての、臥龍と勇者の血筋の戦い。

激戦でない筈がない。

だから、美緒は叫んだ。

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