天神学園のお忍びな面々
流石のレオと蘭丸も、その言葉に動きを止めた。

彼らだけではない。

ディアも、牡丹も、椿も、護衛である甲斐でさえ。

その場にいた全ての者が、美緒を凝視する。

「美緒様…そんな…お戯れを…」

「……」

甲斐の言葉に、美緒はもう一度首を横に振る。

「…リュート様と古奈美様の間に勅使河原将軍家御子息がお生まれになった時、ヒノモトは同盟国を侵略する惑星との戦闘の真っ只中でした…もしかしたら、策謀に巻き込まれて御子息が狙われるかもしれない…そうお考えになった将軍家の側近達は、御子息を護る為、『勅使河原家長女』という架空の存在を演じる事で刺客達の目を引き、本物の『勅使河原家長男』から注意を逸らす為の役割を作り出す事を決めました…」

それこそが、勅使河原 美緒という存在。

将軍家に仕える女中の子が、身代わりとなる為に幼い頃から『姫のように』育てられた、一種の影武者だ。

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