天神学園のお忍びな面々
穏やかな春の風が吹き込む。

夕城邸の縁側。

宗家の道場で汗を流した後、エレナは腰掛けて夕涼みしている。

表情はない。

ただ夕暮れ時の風に、ポニーテールを揺らす。

ふと、涙が頬を伝い、慌てて袖で拭った。

大正乙女が失恋の痛手程度で泣くとは何と無様な!

私は夕城流指南役・夕城 エレナですっ!

宿敵龍娘流の男に絆されたのがそもそもの間違いっ。

この程度の事で手折れるような芯の弱い乙女ではありませんっ!

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