天神学園のお忍びな面々
玄関から入るなどという行儀のいい事はしない。

侵入者なのだ。

人の気配を警戒しながら、影は縁側の窓際に立つ。

無論施錠されている。

後ろ腰の辺りに挿した短刀二刀、そのうちの一振りを抜き、切っ先を窓に当てる。

内側の鍵の辺りだ。

そこに円を描くように傷を入れ、一息に掌打で打つ。

どれ程鋭利なのか。

窓は割れる事なく、傷に沿って口を開けた。

その口から手を差し込み、鍵を開ける。

静かに窓を開ける影。

最小限の破壊のみで、夕城邸は影の侵入を許してしまった。

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