天神学園のお忍びな面々
今すぐにでも、意識を失ってしまいたい衝動に駆られる。

そうすれば楽になる。

しかしその裏では、何とか一矢報いたいという闘志もまだ失われていない。

歯を食い縛り、何とか意識を保ち続けようとする。

「粘るな。ならば」

老師は、カッと目を見開く。

「第3段階…稽古ではない実戦レベルの私の強さを味わってみるか…?」

2人とも、息を飲んだ。

呼吸が苦しくて仕方ないというのに、息を飲まずにはいられない。

ここで言う実戦レベルとは、路上で戦いを挑まれたり、不意に命を狙われたりした時に見せる強さ。

常在戦場の心構え、命のやり取りをも想定した強さ。

まだまともに『仕合』さえ経験した事のない2人にとっては、未知の領域の強さ。

未熟な2人は、その老師の第3段階の気質を身近で味わうだけで、魂さえ持っていかれそうな錯覚を起こす。

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