天神学園のお忍びな面々
(これ以上はまずいか…)

そこまでの強さを発揮しても、老師は冷静だった。

あからさまな殺意を向けては、折角収まっていた龍鬼の魔力がまた鬱屈状態になってしまう。

あまり負の力を、彼に向けてはならない。

この辺りにしておくか…。

荒ぶる気を、収めようとしたその時だった。

「……?」

ドクン、と。

耳に届くほどの鼓動。

龍鬼の隣に立つリューク。

彼の眼が、白目を剥いている。

あまりの殺意に気を失ったか?

しかし彼の全身の筋肉は緊張状態を保ったまま。

無意識とは思えない。

例えるならば、『何かの覚醒前』の状態に似ている。

老師がリュークを追い詰めた事で、何かに目覚めようとしているのか。

< 487 / 760 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop