天神学園のお忍びな面々

戊辰大戦・天神の役

「学食のおばちゃんや生徒達を避難させて下さい！」

美緒の指示で、豆柴やディア、エレナが機敏に動き始める。

「拘束結界……切れる……！」

苦しげに白雪が呻く中。

ブツッ！と。

青白く輝く糸が音を立てて断裂した。

拘束結界が解除された。

校舎を揺るがすほどの咆哮を上げる紀州。

「紀州君！」

その禍々しい気配にテリアが声を上げるも。

「テリアは離れろ！」

リュークが彼女の身を抱え、場から離れる。

入れ違うように、抜刀して斬りかかる夕城三人衆。

蘭丸が真朱（しんしゅ）、銀朱（ぎんしゅ）、洗朱（あらいしゅ）を、椿が裏葉（うらは）、柳葉（やなぎは）、松葉（まつば）、青竹（あおたけ）、老竹（おいたけ）、煤竹（すすたけ）を放って牽制するも。

「――――――――――っっっ！」

猛々しい咆哮と共に、紀州は2人の斬撃を物ともせずに突進し、肩からの体当たりで吹き飛ばす！

椿は勿論、体格のいい蘭丸でさえ一撃で。

これが呪術兵器・犬神。

人の身に禁術を施した、ヒノモト戊辰大戦の最終兵器だった。