天神学園のお忍びな面々
「そして」

甲斐は走り去る先輩の背中を見る。

「幼少の頃から番犬の修行を積み、多少の自負があった俺を、ああも容易く跪かせた彼にも、尊敬を覚えます」

いつだったか、将軍は言っていた。

天神学園はオモチャ箱なのだと。

将軍も若かりし頃は、ミルトゥワで見境なしに強い相手を求めて戦いを挑んでいたという。

時には兄上、時には警護役の騎士、時には荒野を徘徊する魔物。

そんな彼が、天神学園に留学してきた途端に苦戦の連続だったそうだ。

引っ繰り返せば引っ繰り返すほど、ワクワクするような強い相手が次々に転がり出てくる。

天神学園は、そんなオモチャ箱なのだと。

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