天神学園のお忍びな面々
色白、切れ長の藍の瞳の黒髪の青年。

燃えるような赤い瞳と黒髪の、日焼けした精悍な男。

暗めの短い茶髪に鮮やかな緑の瞳の、少女と見紛うような優男。

共通するのは、三者三様、一振りの刀を手にしている事。

…剣客、ならば彼らも夕城 翡翠の墓参りか。

この天神地区で剣客を志すなら、夕城 翡翠は誰もが目指す到達点だろう。

擦れ違い、振り向きもせず。

先輩は3人とは反対方向に歩いて行く。

歩きながら。

「……」

肌が粟立つのを止められなかった。

流石大剣豪の御膝元、天神地区。

化物のような剣客は掃いて捨てるほどいるか。

稽古着の白道着も終わり。

そろそろ武道家の礼装たる、あの道着を準備せねばならんか。

新年の研ぎ澄まされた冷たい風が、先輩の伸ばし放題の黒髪を靡かせた。

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