天神学園のお忍びな面々
そうと決まれば。

エレナは立ち上がる。

立ち上がった拍子に…着物の袖の上に置いてしまっていたのだろうか、エレナのティーカップが散る花びらの如く宙を舞い、けたたましく音を立てて床で割れたが、それもまた大正桜に浪漫の嵐。

何かカッコいい事言って煙に巻こうとする理事長。

飛び散ったティーカップの破片すら躊躇する事なく踏み越え乗り越え、エレナは立て掛けてある一振りの太刀を手に取る。

銘刀・菩薩。

エレナの祖父にあたる夕城 善(ゆうしろ ぜん)が愛刀。

以後、代々夕城指南役の剣客が腰に佩いている。

エレナはそれを。

「お役目を承ったからには!」

その場で抜刀!

キラリと菩薩の切っ先が閃き、壁にかけられた絵画の額縁を掠めて床にガタン!とか大きな音を立てて落としたが、そのような事で大正乙女は怯みはしない、いや怯め。

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