One Night Lover
健は大きな賞を獲って一躍有名なった。

そしてなんと梨沙と結婚することになった。

梨沙のお腹に健の子が出来て
結婚はしたくないと思っていた梨沙だったが
幸せそうな華乃と海斗を見て
子供には父親が必要だと思ったのか
健に突然プロポーズした。

健は昔から子供が欲しくてすごく嬉しそうだった。

梨沙は華乃より少し遅れて出産し、
ちょっとした有名人である梨沙は
デザイナーカップルと言われて少しだけニュースになった。

海斗は家族というものを初めて持って
色々不安もあったが幸せだった。

「華乃ちゃん、ありがとう。

俺の血縁がこの世にいるなんて夢みたいだ。」

と喜んだ。

華乃はまだ駆け出しだが、
デザインの発注が増えて
梨沙と子育てしながら楽しく仕事している。

結局、華乃はあんなに愛していた藤ヶ瀬との恋を選ばなかった。

藤ヶ瀬との一夜の恋は華乃の胸に永遠残るキラキラした想い出になったが
苦しかった社内恋愛の日々をあまり思い出す事はなかった。

竜はその2年後、結局、父の決めた良家の娘と結婚した。

どことなく出会ったばかりの華乃に似て
危なっかしくて
守ってやりたいと思ったからだった。

同じ環境に住む彼女は藤ヶ瀬にとって楽な相手で
結婚とはこういうものだとわかった。

若い頃の燃えるような恋は
竜のような男の結婚には結びつかないと気がついたとき、
寂しく悲しい気持ちになったが
それはそれで幸せだった。

菜那は施設を出て、
一人で働きながら生活している。

聖司もお酒をやめ、ちゃんとした仕事に就いた。

そして渉は状態が良くなり、
華乃に何も言わずに遠くに越してしまった。

それぞれが違う道を歩き始めた。

その朝、竜は偶然、会社の車の中で
幸せそうな華乃と海斗とその子供を見かけて
あの時、華乃を手放したことは間違ってなかったと思った。

華乃のお腹にはもう一人子供がいるようだった。

「幸せにな。」

そう呟いて車の窓を閉め、再び読んでいた書類に目を通した。



「ね、将来この子は何になると思う?」

華乃が大きなお腹を撫でながら海斗にそう聞くと

「華乃ちゃんみたいなエッチな軽い子になりませんよう。」

と海斗が笑った。

「ひどーい。」

「うそ、うそ。

華乃ちゃんみたいな可愛いくて優しくて才能のある子になりますよう。」

海斗はそう言って華乃の頰にキスをした。

「パパ〜、早くー。」

海斗にそっくりな二人の息子が懸命に前を走っていく。

「危ないからゆっくり!」

華乃が息子に叫んで
そして華乃は海斗と手を繋いでその後を追いかけていった。



〜One Night Lover〜



THE END
< 110 / 110 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:21

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

Friends
june*/著

総文字数/0

恋愛(純愛)0ページ

表紙を見る
レンカレ
june*/著

総文字数/14,867

恋愛(オフィスラブ)5ページ

表紙を見る
The holiday romance
june*/著

総文字数/38,317

恋愛(純愛)17ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop