One Night Lover
華乃は彼女たちと久し振りに飲んで
結婚に対するストレスもこの時は忘れて
楽しい時間を過ごした。
ふと帰りに通った道である場所の前で足を止めた。
「ここって…」
華乃が立ち止まったのは5年前、藤ヶ瀬と出逢ったあのクラブだった。
あの時はかなり酔っていた事もあり、
何となくフラッと立ち寄ったので
華乃は正確にこの場所を覚えていなかった。
そしてまたここに来たいとも思えなかった。
「この店、まだあったんだなぁ。」
5年も経つと無くなってる店も多い中、
このクラブはまだその場所にちゃんとあった。
華乃はまた酔った勢いでその中に入ってみる。
扉を開けると大きな音楽が鳴り、
ビートを刻む音が脚から身体に入ってくるようだった。
その瞬間、誰かに腕をとられた。
「また男漁り?」
振り向くと藤ヶ瀬が立っていた。
「ぶ、部長⁈」
「また相手してもいいけど…
どうして婚約者もいるのに他の男が欲しくなるワケ?
彼氏じゃイケないとか?」
華乃は藤ヶ瀬の手を振り解いて逃げようとした。
「そんなつもりで来たんじゃありません!
離してください!」
しかし藤ヶ瀬の力は強く、華乃は逃げ出す事も出来ない。
竜は華乃の手を引いて、あの時のキスをした場所に連れて行く。
ロッカーの横の人通りのない通路の先にある
常連だけが知ってるこの場所は
たまに気の合った者同士が愛を確かめ合う所だった。
幸い、今日は誰も居なかった。
竜はまたそこで華乃にキスしようとしたが
華乃は反射的にそれを拒んだ。
しかし華乃の顎を掴み強引にキスをする。
初めは藤ヶ瀬の腕の中で暴れていた華乃だったが
キスされるうちに抵抗する力を失っていく。
藤ヶ瀬の手が華乃の胸を触り、スカートの中に手を入れようとすると
華乃は我に帰ったように藤ヶ瀬を突き飛ばしてその頰を叩いた。
「俺とこういうことしたいと思って
またここに付いて来たんだろ?」
「あの時とは違うんです。」
「初めてで知らない男と寝れる度胸があるのに
浮気なんか簡単だろ?」
華乃は恥ずかしくて顔を伏せる。
「あの時は壊れてたから。」
「今は幸せ?
商品開発部の杉崎くんだっけ?
彼は知ってる?
お前がこういう女だって。」
"こういう女"という言い方が華乃を傷つけたが
華乃は何も言えなかった。
健はきっと出会ったばかりの知らない男と寝た事があると知ったら
華乃を軽蔑するだろう。
しかも相手がこの藤ヶ瀬だと分かったら…
あの日の事が健の耳に入ったらきっと終わりだ。
他の男女が来て少し離れた場所で
華乃と藤ヶ瀬に構いもせず激しいキスをし始めた。
2人の動きはどんどんエスカレートしそうなので
竜は華乃の腕を引いてとりあえずクラブを出た。
そして華乃とタクシーに乗った。
華乃はどこへ連れて行かれるのかもわからなかったが
なぜか逃げ出せずにいた。
結婚に対するストレスもこの時は忘れて
楽しい時間を過ごした。
ふと帰りに通った道である場所の前で足を止めた。
「ここって…」
華乃が立ち止まったのは5年前、藤ヶ瀬と出逢ったあのクラブだった。
あの時はかなり酔っていた事もあり、
何となくフラッと立ち寄ったので
華乃は正確にこの場所を覚えていなかった。
そしてまたここに来たいとも思えなかった。
「この店、まだあったんだなぁ。」
5年も経つと無くなってる店も多い中、
このクラブはまだその場所にちゃんとあった。
華乃はまた酔った勢いでその中に入ってみる。
扉を開けると大きな音楽が鳴り、
ビートを刻む音が脚から身体に入ってくるようだった。
その瞬間、誰かに腕をとられた。
「また男漁り?」
振り向くと藤ヶ瀬が立っていた。
「ぶ、部長⁈」
「また相手してもいいけど…
どうして婚約者もいるのに他の男が欲しくなるワケ?
彼氏じゃイケないとか?」
華乃は藤ヶ瀬の手を振り解いて逃げようとした。
「そんなつもりで来たんじゃありません!
離してください!」
しかし藤ヶ瀬の力は強く、華乃は逃げ出す事も出来ない。
竜は華乃の手を引いて、あの時のキスをした場所に連れて行く。
ロッカーの横の人通りのない通路の先にある
常連だけが知ってるこの場所は
たまに気の合った者同士が愛を確かめ合う所だった。
幸い、今日は誰も居なかった。
竜はまたそこで華乃にキスしようとしたが
華乃は反射的にそれを拒んだ。
しかし華乃の顎を掴み強引にキスをする。
初めは藤ヶ瀬の腕の中で暴れていた華乃だったが
キスされるうちに抵抗する力を失っていく。
藤ヶ瀬の手が華乃の胸を触り、スカートの中に手を入れようとすると
華乃は我に帰ったように藤ヶ瀬を突き飛ばしてその頰を叩いた。
「俺とこういうことしたいと思って
またここに付いて来たんだろ?」
「あの時とは違うんです。」
「初めてで知らない男と寝れる度胸があるのに
浮気なんか簡単だろ?」
華乃は恥ずかしくて顔を伏せる。
「あの時は壊れてたから。」
「今は幸せ?
商品開発部の杉崎くんだっけ?
彼は知ってる?
お前がこういう女だって。」
"こういう女"という言い方が華乃を傷つけたが
華乃は何も言えなかった。
健はきっと出会ったばかりの知らない男と寝た事があると知ったら
華乃を軽蔑するだろう。
しかも相手がこの藤ヶ瀬だと分かったら…
あの日の事が健の耳に入ったらきっと終わりだ。
他の男女が来て少し離れた場所で
華乃と藤ヶ瀬に構いもせず激しいキスをし始めた。
2人の動きはどんどんエスカレートしそうなので
竜は華乃の腕を引いてとりあえずクラブを出た。
そして華乃とタクシーに乗った。
華乃はどこへ連れて行かれるのかもわからなかったが
なぜか逃げ出せずにいた。