One Night Lover
健は深夜まで華乃のアパートの前で華乃の帰りを待っていた。

もちろん華乃は現れず
健の怒りは爆発しそうだった。

華乃は朝になって渉の部屋を出て
シャワーを浴びて出勤の支度をした。

華乃の利用する駅の改札で健に掴まった。

「華乃…昨夜何処行ってた？」

華乃は健がかなり怒っていたので
動揺していた。

「健…もう電車に乗らないと…」

「会社に連絡して午後出社にしてもらえよ。」

「ダメだよ、打ち合わせがある。

今夜時間作るから話そう。」

華乃は健の腕を組んで
一緒に上りの電車に乗った。

電車の中は混んでいて、
華乃の身体が健に密着した。

健はそれだけで華乃を許したくなった。

華乃は12階の宣伝部へ
健は15階の商品開発室へそれぞれ別れた。

華乃は健が怒ってやって来たので
また今夜、責められると思うと気が重かった。

そんなことを考えてると藤ヶ瀬と視線が合った。

華乃の背筋がピンと伸びる。

藤ヶ瀬は目が合うと華乃に手招きをした。

華乃は仕方なく部長室に入った。

「今夜、暇か？」

「え？」

「一緒に来て欲しいところがある。」

華乃は健と話をすると約束してしまった。

「あの…今夜はちょっと…」

「デザイン課の杉崎くんも連れてきて。」

「え？どうしてですか？」

藤ヶ瀬は不敵な笑みを浮かべ、
何を企んでいるのか華乃には想像もできなかった。



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