One Night Lover

華乃はデザイン課に行って健を呼んだ。

健はまだ華乃に怒っていて冷たい態度で接して来る。

「今夜、部長が私と健に来て欲しいって。」

健は部長というか言葉に敏感だ。

「何処に？」

「わかんないけど…仕事だから。」

「どうだか…。

仕事ならデザイン課を通して貰わないと。」

その時、健が葛城から呼ばれた。

「呼んでるから…じゃあ。」

「え？あ、た、健⁉︎」

結局、健に了承してもらえず、
華乃は再び部長室のドアをノックした。

「何？」

「デザイン課の杉崎さん、上を通して欲しいって。」

藤ヶ瀬は笑いながら

「当たり前だろ？もちろん話は通してある。

今頃、上から指示を受けてるはずだ。

それよりお前たち、うまくいってるのか？

婚約者が逢いに行って頼んだのに、上を通せなんて言うか？

にやけて引き受けるトコだろ？」

と華乃の気持ちを逆撫でするような事を言った。

「誰のせいだと思ってるんです？」

竜はその言葉の意味がわからなかった。

「え？」

「部長のせいで…あなたが現れたせいで…
健が誤解したんです！

あなたと私の視線がおかしいって！」

「は？」

「私のこと、好きなんですか？

そうじゃ無いでしょ？

なら変な目で見ないで下さい！

もう過ぎたことだし、こういう立場なら忘れるべきでしょ？
蒸し返してどうするんですか‼︎」

華乃は頭に来て思ってることを藤ヶ瀬にぶつけた。

竜は華乃に圧倒されて返す言葉を失った。

「杉崎さんとは一緒に仕事しません！

仕事できるような状況じゃありませんから！」

怒って部長室を出ようとすると
藤ヶ瀬が突然言った。

「お前のことが…気になる。

好きかどうかはわからないけど…
あの日からずっとここに引っかかってる。」

と藤ヶ瀬が自分の胸を叩いて言った。