One Night Lover
「華乃…ただいま。」

華乃は血の付いた服を着た渉を見て怖くなった。

表情はどこかいつもと違って見えた。

「逢いたかったよ。」

血のついた手で華乃の頬に触れ
キスをしようとした。

華乃はそんな渉の唇を避けた。

「先輩…血が付いてる。

何があったの?」

「華乃…好きだよ。」

渉は華乃の首を抑えて無理やりキスをした。

華乃が嫌がって逃げようとすると
渉は気持ちが昂ぶった。

華乃は渉に捕まって押し倒された。

「こういうの好きだろ?」

「やだ…今日の先輩は…いや。」

華乃があんまり暴れて言うことを聞かないから
渉は華乃の頬を叩いた。

「大人しくしろよ。」

それ以上は怖くて華乃は渉に従った。

渉が華乃の脚を開いた時、華乃は泣いていた。

渉はそれを見てさらに高揚した。

終わった後、華乃はショックでしばらく動けなかった。

渉がゆっくりと華乃の身体から離れ
泣いてる華乃を見て後悔する。

「ごめん…喧嘩して…俺…どうかしてて…」

「今日は先輩…少しおかしい。

こんなの望んでない。」

華乃の頬は赤く腫れ
手首には痣が残った。

それを見て渉は泣いた。

華乃もそんな渉を見て泣いた。

その日から渉は華乃を抱かなくなった。

渉はその後、傷害事件で取り調べられたが
相手が複数の人数だったことや相手から手を出したことがわかって示談になった。

しかし渉はちゃんとした病院に通ってカウンセリングをうけて過去のトラウマを克服すると言った。

このままでは自分が壊れて父みたいになるのではないかと不安になったからだった。

華乃は渉という盾を失った。












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