One Night Lover
そしてとうとう父は直接菜那に会う事にした。

「あなたは息子の将来を潰すつもりですか?」

菜那は自分と竜では住む世界が違うと初めて思い知らされた。

竜は自分の家について全く話さなかったし、
聖司にも口止めしていたようで
父親がどんな人なのかその時初めて知った。

そして父は菜那の母親にも会い、
多額のお金を渡した。

長年お金で苦労していた菜那の母親は
それを受け取って
菜那に竜と別れるように言った。

菜那はそのことを竜をよく知る聖司に相談に行った。

「竜の家ってあの父親って一体何なの?」

「アイツの家は昔からあんな感じだ。

俺の家も昔はそこそこ大きな会社を経営してたんだけど竜の家とは比べものにならなかった。

それでもあの頃は俺の家もかなり金があったから
親父さんもそれなりに友達として認めてくれてた。

だけどさ、俺の家が倒産してから
あの親父さんの態度が一変したんだ。

会う度にいやな顔されたよ。

そういう人種なんだよ。

金があるからって高圧的な態度で貧乏人をバカにするような奴らだ。

竜もある意味、可哀想だよな。」

菜那はそんな家に到底嫁ぐことは出来ないと思った。

竜がなかなかプロポーズしないのも
そんな背景があったからだ。

「どっちにしろ母が貰ったお金を返さないと…」

「ドラマみたいだな。

菜那…竜とは無理だと思う。」

その時、聖司は菜那を自分なら幸せに出来ると思っていた。

そして菜那にお酒をすすめ、
酔った菜那に強引に迫って
菜那を自分のモノにしてしまった。

菜那は聖司と寝てしまったことを後悔したが
結局それが竜と別れるキッカケになった。





< 44 / 110 >

この作品をシェア

pagetop