One Night Lover
「竜…私たち別れよう。」

「え？」

竜は何がなんだかわからなかった。

最近の菜那は竜が逢おうといっても何かしら理由をつけて会わなくなっていたが
まさか別れたいと思っているなんて想像もしてなかった。

「突然何なんだよ？

何があった？」

菜那は竜に母が手切れ金を貰ってしまったとはとても言えなかった。

「もう、竜の事好きじゃないの。

他にいいなって思える人が居て…気持ちが冷めたっていうか…」

「は？訳わかんねぇよ。

突然何言ってんだよ？」

菜那は泣きそうになるのを必死に堪えて冷たく竜を遠ざけた。

「とにかく…もう竜とは終わりにしたい。」

突然そんなことを言われた竜はプライドが傷ついて
売り言葉に買い言葉のように気持ちとは反対のことを言った。

「俺もお前みたいな訳わかんない女もう沢山だよ！
別れたいなら別れてやる！」

それは竜の本心ではなくて、
またいつもの喧嘩だと思っていた。

３日もすれば元に戻ると信じてた。

しかし菜那はそれきり竜と連絡を絶った。

居場所も分からず、仕事も変わって
菜那の消息は全く掴めなかった。

その頃同じように聖司とも連絡が取れなくなった。

竜は嫌な予感がした。

そしてそのひと月後、
菜那が聖司と結婚すると聞いた。

< 45 / 110 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop