One Night Lover
告白
竜はあの時のことを思うと今でも胸が苦しくなる。

苦しくて、許せなくて、未だに眠れない夜もある。

女という生き物が全て信じられなくなった。

クラブで酒を浴びるほど飲んでいると
隣で同じように飲んでいた華乃と目があった。

物欲しげな顔で竜を見ている気がしたので
声をかけてみる。

「一人?」

女は少し戸惑った気がしたが、
すぐに投げかけた言葉に飛びついて来た。

「ひ、一人です。」

竜は女にその気があるか確かめるため
自分からは誘わないでただ彼女を見つめた。

しばらく沈黙が流れたが
彼女はすぐに自分から誘わなくてはと思ったようだ。

「だから…よかったら一緒に飲みませんか?」

華乃の第一印象はまだ若くて大胆で粋がってて
バカっぽいと思った。

それなりに遊んでる簡単な尻軽の女子大生なんだろうと暇つぶしに遊んでやるつもりだった。

女なんかみんな信じられないと思って華乃と軽い気持ちで飲み始めた。

「結構飲んでるね?大丈夫?」

「うん、全然大丈夫。

お兄さん、相当カッコいいですよ。

ね、彼女とかいないの?」

「居ないよ。」

「嘘だー!

でももし居ないなら…私と付き合わない…ですか?」

相当飲んでたのか話し方もおかしくて
危なっかしかった。

顔は可愛いし胸もまあまあ大きそうで
唆られる身体をしていた。

ワンナイトスタンドの相手には申し分ない。

「いいよ。付き合おうか?」

「えー、ホントに?」

「でもそんなに飲んでて大丈夫?」

「うん、今日はねぇ、なんかもう弾けたくて。」

自分も同じ気持ちだった。

何もかも忘れて、ただ馬鹿みたいにはしゃぎたかった。

「踊ろうか?」

「うん。」

竜が華乃の手を取って踊る。

手足を思い切り動かして
首を思い切り振って、そしてフラフラだった華乃の脚が縺れて思わず竜にもたれかかってきた。

竜は華乃を抱きとめた。

彼女の肌に触れて少しだけ胸がキュンとした。

「大丈夫?少し休もうか?」

華乃の手を取りロッカーの奥の通路に連れて行った。

ここは常連しか知らない秘密の場所だ。

今日はまだ先客が居なくて
華乃と2人きりだった。

フラフラの脚で通路の壁にもたれかかってる華乃に介抱するフリをして近づいた。

「本当に大丈夫?」

華乃は竜の目を見た。

酔って見つめる目がすごく艶っぽく見えて
竜は華乃の顔に自分の顔を近づける。

キスしたいと思ったから。

華乃も瞳を閉じた。

竜は華乃を壁に抑え付けてキスをした。

華乃が少し震えていたのが意外だったが
そのままずっとキスを続けた。




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