One Night Lover
自然と華乃の胸に手が行った。

華乃は少しビックリしたように竜の手を掴んだけど
竜はその手を壁に押し付けて
また華乃の胸を触った。

諦めたように竜を受け入れて
胸を触られながら華乃がキスを続けた。

「場所変えようか?」

そう竜が言うと頷いた。

ここで簡単に済ませようと思ったが
その夜は一人で居たくなかった。

タクシーに乗って近くのホテルに部屋をとった。

そんなにいい部屋じゃないけど…
安い部屋でもない。

華乃は少し躊躇ってるように見えたが
最後まで竜の手を離さなかった。

ホテルの部屋に入ると華乃とまたキスをした。

少し落ち着いたりしたらこの女の気が変わるかもしれないと思ったから強引にコトを進めた。

華乃は大胆に誘ってきたわりに
ベッドの上では保守的で
竜は華乃に言った。

「今度はそっちが気持ちよくして。」

思ったより慣れてなかった。

そこが堪らなく良かった。

そんなことに慣れてない方が、ずっと唆られた。

まるでレッスンを受けてるみたいに
華乃は一生懸命だった。

終わった後、華乃が初めてだったことに気がついて
血の気が引いた。

シャワールームで後悔した。

初めての女の子に酷いことをさせてしまった。

なかなかシャワールームから出られなくて
出来るだけゆっくりシャワーを浴びて気持ちの整理をした。

このままやる事だけやって捨てるのは良心が咎めた。

可愛かったし…今は彼女も居ないし
少し付き合うフリをして恋愛ごっこでもしてみようかと思った。

何て言おうか考えながら部屋を出ると
華乃は竜の心配をよそに疲れたのか眠っていた。

その時竜は華乃の顔を見てドキっとした。

まるで子供みたいに無邪気に眠っていたが
少し泣いたような感じもする。

もしかしたら自分が泣かせたのか…何があってこんな大胆な事をしたのか…竜には見当もつかないが
きっと彼女も忘れたい何かがあるんだと思った。

綺麗な寝顔を見ながらその頰に触れようとすると
突然電話が鳴った。






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