One Night Lover

雨来梨沙は思った通り変わっているが
興味深い人だった。

「あ、健の元婚約者？」

いきなりそれが挨拶だった。

「うん、可愛いね。

健の好きなタイプだよねー。

いいよ、採用！」

そして面接らしい面接もしないでいきなり採用だった。

「あの…デザイン画は？」

「うん？健がね、すごく褒めてた。

嫉妬するくらい良いもの持ってるって言ってたよ。

健が仕事で人褒めるってなかなか無いから。

でも持ってきたならデザイン画見せて。」

華乃はデザインブックを梨沙に渡した。

梨沙はそれをゆっくりと見て

「あー、ホントだ。いいね。

やっぱ採用して間違いない。

ね、ちょっと来て。

来シーズン家電のデザイン頼まれたんだけど
女の子の一人暮らしってのがテーマで。

これ見て。可愛いでしょ？」

そこには華乃が憧れた可愛いデザインの物がキラキラと並んでいる。

「すごい！可愛いです！

やっぱりすごいです！

先生、宜しくお願いします！」

「先生とかやめて！

梨沙って呼んで。でも入ったばかりで呼び捨てはまずいか？

梨沙さんて…でも梨沙さんて呼びにくいよね。」

雨来梨沙はその日から華乃の憧れで上司で頼れる女友だちになった。

梨沙は華乃を可愛がり、華乃は梨沙の元でデザインの勉強をまた一から始めた。

「華乃〜っ！飲みいこ！

みんなー、今日華乃の歓迎会するよー！

ハルちゃんの店に予約入れてー！」

梨沙は豪快で頼もしくてそして可愛い人だった。

華乃はそんな梨沙に憧れた。

そして華乃の世界は変わっていった。

周りの人も着る服も環境も自分の部屋のインテリアも全て変わっていった。

半年が過ぎた頃、健が店を訪ねてきた。