One Night Lover
それでも華乃は結局最後は健と結婚するんだろうと思ってる。
最近はあの男との夜を思い出す回数も少なくなった。
健はこの間、葛城にデザインを褒められて
仕事も順調だ。
健には才能があり、
今に葛城を超えるデザイナーになると華乃は思っている。
デザイン課を追い出されるのは間違いなく華乃だから結婚したいなんて簡単に言えるのだと華乃は思っている。
しかし今年入った新人が健のことが好きだと気付いて、最近華乃は少し焦っている。
もし自分がこの結婚を断ったら
その子に健を奪われてしまうかもしれないと思うと
それはそれで嫌なのだ。
華乃はもう25歳だ。
結婚を考えてもいい年になった。
まだ25だと思っていたけど、
大学時代の友達が今年に入って続けて2人結婚した。
「結婚早まったと思わない?」
と華乃が聞くと友人は言った。
「私たち四捨五入したら30だよ?
売れる時に売っとかないと!
チャンス逃して売れ残って
辺り見回したらいい男はみんな既婚者で
つまんない男しか残ってないかもって思わない?」
そんな風に彼女が話していたのを聞いて、
華乃は決心した。
健は同期の中でも抜きんでているし、
将来は有望である。
「結婚してもいいよ。」
「え?マジで?」
「でももう少しだけ待ってくれない?」
健はすごく喜んでくれてその週末、華乃に婚約指輪をプレゼントしたいと言った。
結婚が決まるまで二人の仲はもちろん秘密にするつもりだったが
婚約指輪を選んでいた2人の姿を運悪く社内の人に目撃され、
あっという間に噂がたってしまった。
しばらくしてから異動を言い渡された。
異動になったのはやはり華乃の方だった。
「池田さん、宣伝部に異動よ。
今までご苦労様。あっち行っても頑張ってね。
結婚するんだって?」
「あー、まだ具体的には…」
「早く決まると良いわね。
宣伝部で今までの経験が役に立つといいけど…。
残念だわ。
池田さん、この仕事にもっと情熱持ってると思ってたのにね。」
紺野深鈴が半分嫌味混じりで華乃に辞令を渡した。
葛城と結婚もできず今まで秘密の恋をしている深鈴にとって
恋愛に浮かれてデザインの道をスッパリ諦める華乃が愚かにも思えるし、その反面どこか羨ましくもあった。
華乃だって出来ればここから動きたくはなかったのだが、平凡な能力の自分がデザイナーになれる保証もないし、その中で健という将来有望な男を諦めるのも怖かった。
華乃は結局、デザイナーという夢より結婚という現実を選んで
デザイン室を追い出される結果になった。
最近はあの男との夜を思い出す回数も少なくなった。
健はこの間、葛城にデザインを褒められて
仕事も順調だ。
健には才能があり、
今に葛城を超えるデザイナーになると華乃は思っている。
デザイン課を追い出されるのは間違いなく華乃だから結婚したいなんて簡単に言えるのだと華乃は思っている。
しかし今年入った新人が健のことが好きだと気付いて、最近華乃は少し焦っている。
もし自分がこの結婚を断ったら
その子に健を奪われてしまうかもしれないと思うと
それはそれで嫌なのだ。
華乃はもう25歳だ。
結婚を考えてもいい年になった。
まだ25だと思っていたけど、
大学時代の友達が今年に入って続けて2人結婚した。
「結婚早まったと思わない?」
と華乃が聞くと友人は言った。
「私たち四捨五入したら30だよ?
売れる時に売っとかないと!
チャンス逃して売れ残って
辺り見回したらいい男はみんな既婚者で
つまんない男しか残ってないかもって思わない?」
そんな風に彼女が話していたのを聞いて、
華乃は決心した。
健は同期の中でも抜きんでているし、
将来は有望である。
「結婚してもいいよ。」
「え?マジで?」
「でももう少しだけ待ってくれない?」
健はすごく喜んでくれてその週末、華乃に婚約指輪をプレゼントしたいと言った。
結婚が決まるまで二人の仲はもちろん秘密にするつもりだったが
婚約指輪を選んでいた2人の姿を運悪く社内の人に目撃され、
あっという間に噂がたってしまった。
しばらくしてから異動を言い渡された。
異動になったのはやはり華乃の方だった。
「池田さん、宣伝部に異動よ。
今までご苦労様。あっち行っても頑張ってね。
結婚するんだって?」
「あー、まだ具体的には…」
「早く決まると良いわね。
宣伝部で今までの経験が役に立つといいけど…。
残念だわ。
池田さん、この仕事にもっと情熱持ってると思ってたのにね。」
紺野深鈴が半分嫌味混じりで華乃に辞令を渡した。
葛城と結婚もできず今まで秘密の恋をしている深鈴にとって
恋愛に浮かれてデザインの道をスッパリ諦める華乃が愚かにも思えるし、その反面どこか羨ましくもあった。
華乃だって出来ればここから動きたくはなかったのだが、平凡な能力の自分がデザイナーになれる保証もないし、その中で健という将来有望な男を諦めるのも怖かった。
華乃は結局、デザイナーという夢より結婚という現実を選んで
デザイン室を追い出される結果になった。