One Night Lover

「健、久しぶり！」

梨沙がいきなり健にキスをして迎えた。

「え？」

華乃はそれを呆然と見ていた。

「華乃、健来たよ」

「あ、はい。

久しぶり。」

健が梨沙と並ぶとなんだか想像してしまう。

高校生の健と今の自分と同じ年の梨沙がキスをしたり抱き合ったりしてたのかと思うと
なんだか妙な気持ちだった。

「華乃はちゃんとやってる？」

「うん。すごく助かってるよ。」

何となく二人の間に入れない気がして
華乃は複雑な気持ちになった。

別れたとは言え、自分の元婚約者で
梨沙にとっては元彼で
二人は今も仲が良くて華乃は少し嫉妬に近い感情が湧いた。

梨沙と対等に話す健はいつもよりずっとカッコよく見えた。

「３人で食事しない？

華乃、ハルちゃんの店に電話して。」

ハルちゃんというのは梨沙と仲のいい男友達でイタリアンの店を経営している。

ハルちゃんは男だけど男の子が好きで
毒舌である。

「いらっしゃいませ。」

ハルちゃんの店にいるスタッフの海斗くんはおしゃれでカッコよくてモデルみたいな
中目黒とかによくいそうな感じのイケメンである。

そしてハルちゃんの大のお気に入りだったが
海斗くんはストレートでハルちゃんは全く相手にされてない。

ハルちゃんも黙っていたらかなりのイケメンだけど
その口を開くと大体の女の子は引くだろう。

しかし料理をする姿は本当に素敵だった。

「いらっしゃい。

華乃また太ったろ？」

第一声がコレだった。

「お、健ぅー、相変わらずいい男だねぇ。」

そう言って健のお尻を触って、健に思い切り嫌な顔をされる。

しかし今、華乃のいる世界は一流企業の縛られた規律からかけ離れていて
自由で華乃にとっては心地いい空間だった。

そんな華乃を見て、健は華乃を梨沙に紹介して良かったと思った。