One Night Lover
華乃はその夜、海斗の部屋に泊まって
海斗と一晩を過ごした。

次の日、出社すると梨沙が言った。

「あ、昨日と同じ服。

そりゃダメだよ。海斗くんとやったのバレバレ。

私の服着る?」

梨沙は上に自分の部屋があって
ほとんどそこで寝泊まりしている。

華乃は梨沙の服に着替えてその日を過ごした。

「ね、海斗くんどうだった?

いい男だよねぇ。

私、誘われたことないなー。

華乃が羨ましい。」

「梨沙さん、声大きいです。」

「健が知ったらどう思うかな?

話してみようかな?」

相変わらず梨沙は自由で人をからかうのが好きだ。

特に華乃はいつも梨沙にからかわれている。

「梨沙さんこそ、健とどうなんですか?」

「私たちはただ食事するみたいに寝るだけ。

生理現象的な?一種の欲動ね。

健はまだ華乃が好きなんだと思うな。

わかっちゃうんだよね。」

華乃はそのセリフを昨日の夜も聞いた。

「梨沙さん、海斗くんと気があうと思いますよ。」

「え?どういう意味?」

華乃は少し気がついている。

健はまだ華乃とやり直したいと思っている。

最近は頻繁に様子を見に来て、
優しくしてくれて、デザインの話を聞いてくれて
応援してくれる。

華乃がたまに健とキスしたり、寝たりするのは
そんな健が有り難いからだ。

このまま健がやり直したいとか言ってきたら
華乃はそれもいいかなと思ってしまいそうだった。

海斗とのことは完全な遊びだが、
健とは少し違っている。

健と寝るときに藤ヶ瀬のことは思い出さない。

ただ安心して身体を任せられた。

だけどそれは情熱的ではなく、
義務のような営みで華乃の求めてるそれとは違う。

海斗の方が気持ちが昂って、快楽的だった。







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