イケメンエリート、愛に跪く



ワイキキから車で40分程走ると、いつの間にか外の景色が変わってきた。

人の気配もなくなり平屋の家が立ち並ぶ街並みは、赤褐色の土の色と木々の緑そして青い空のコントラストが本当に美しい。

愛は車の中からずっと外の景色を見ている。
すると、一直線の道路を颯爽と走る車の先に、青い海が見えてきた。


「舟君、あの海?」


舟は何も言わずに微笑んで、スピードを上げた。

愛は目の前に広がる海に息を飲んだ。
ワイキキビーチや観光スポットになっているビーチとは全く違う。
穏やかではない迫力のある波が打ち寄せていた。

そのビーチは駐車場も何もない場所だ。
舟はくぼんだ空き地のような場所に車を停めた。
そして、愛を大切に抱えて、足場の悪いビーチまでの道を歩いて行く。

舟は愛の腰を支え、下りになっている道を下へ進んだ。
目の前に迫ってくる壮大な海は、二人を歓迎しているようにキラキラ輝いてる。

真っ白い砂浜の上を歩きながら、舟は我慢できずに愛にキスをした。


「愛ちゃん、もう、誰もいないからいいだろ…?」


寄せては返す波の音が笑っているように聞こえる。舟が彼女を連れて来たぞって。

舟はこのハワイに降り立って、自分の全ての感情を解放した。

愛ちゃんは僕のものだ…

前のめりな感情に舟のキスは激しさを増していく。どれほどキスをすれば、僕のこの気持ちは落ち着くのだろう?

ちょっとだけ強い海風が、離れられない二人を優しく包み込んでくれる。












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