イケメンエリート、愛に跪く
愛は舟の情熱的なキスに胸の高鳴りが止まらない。
舟と再会してから数回、舟は愛によくキスをした。
でも、それは、アメリカ人特有の挨拶的なものだと思っていたし、舟からの愛の囁きに子供の頃から慣れてしまっている愛は、その場とその時間を何となく過ごしていた。
でも、今日のキスは全く違う。
舟の一途な思いが愛の思考を鈍らせる。
子供でも少年でもない大人の舟が今ここにいて、舟の激しい感情が愛の血液に乗り体中に行き渡る。
キスだけで、愛は舟の虜だった。
いや、舟と再会したあの日から、私は舟を求め舟に心を奪われていた。
でも、不確かで危なっかしい恋に前を向けない私は、その気持ちを無いものとして抑え込んでいた。
今は、舟の温もりに嘘はないと確信している。
これまでだって、舟の言葉に何一つ嘘なんてなかったから…
舟は永遠に続けたいと思う最高なキスを、必死の思いで止めた。
ハワイの開放的な雰囲気に飲まれるわけにはいかない。
キスを止めた舟は愛の肩をグッと引き寄せ、真っ白い砂浜を波打ち際まで歩く。
「僕達があと10歳若かったら、洋服のままで海の中にダイブするのに」
舟の言葉に、愛は急に立ち止まった。
「舟君、無理だからね…
私、恥ずかしいけど、全然泳げないんだから」
舟は怯える愛を横向きに抱き上げる。