イケメンエリート、愛に跪く



母屋にある大きなテラスで、愛は豪華なディナーを頂いた。
何もかもがスケールが大き過ぎて、愛は驚く事ばかりだ。

そんなご馳走が並んだテラスから綺麗な夕日が望めた。
舟の祖父母は、目を細めて舟と愛を見ている。
美しいサンセットより大切な孫の笑顔が何よりも価値があると、そんな優しい顔をしながら。

ディナーを終えた舟と愛は、家の周りを散歩する事にした。
いつもより興奮気味の祖父母をベッドに送るためだ。


「おじいちゃん、おばあちゃん、愛ちゃんはまだしばらく居るんだから、今日はもう休んで。
明日の朝に、積もる話はたくさんすればいいんだからさ」


舟の言葉に二人は素直に頷いた。
愛もおやすみと言ってハグをする。


舟は愛を連れて中庭を歩いた。
ゴルフのパット用のグリーンがあったり、おばあちゃま専用の花壇があったり、年老いた二人が飽きないようにたくさんの工夫が凝らされている。

そんな庭を海の方へ歩くと、真っ白いコテージに行きついた。


「愛ちゃん、ここに僕達は泊まる…
僕と一緒だけど… いいだろ…?」


コテージの玄関に備え付けられている橙色の照明が、舟と愛をかろうじて照らした。
舟は愛の表情をずっと見ている。


「うん、いいよ…」


舟の目に映る愛の顔は、はにかんでいるけれど嫌がっていない。

舟は大切に慎重に愛との仲を深めていきたいと思っている。
自分の欲望が操れるのなら、だけど…





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