イケメンエリート、愛に跪く
ハワイに来て三日が過ぎた頃、愛は舟の祖父母と母屋の海を見渡せるテラスでたくさん話をした。
舟は、祖母のお気に入りの花の苗を買うために、隣町のスーパーマーケットまで買い物に行っている。
本当は愛を一緒に同行する予定だったのだが、舟の祖父母が愛は置いて行けときかなかった。
渋々と一人で出かけた舟を見送った後に、愛と舟の祖父母は贅沢にアフタヌーンティーを堪能した。
「ごめんね…
あの子が居たら、愛ちゃんとゆっくり話す事ができないもんだから…」
舟のおばあちゃまは、愛と目が合うとペロッと舌を出して微笑んだ。
隣に座るおじいちゃまも感慨深い表情を浮かべ、一緒に微笑んでいる。
私が何でしょう?とジェスチャーで二人に聞くと、二人は顔を見合わせ同時に頷いた。
「今でもあの日の事を、昨日のように思い出すわ…」
そう言うおばあちゃまは、もうすでに涙ぐんでいる。
「園子がアメリカ人のジョージと結婚して、元々ジョージはお父様が立派な会社を経営している方だったからそちらが忙しくて、そしたら園子まで事業を始めたでしょ。
私達は、舟やその下に生まれた弟達の面倒を見るためにアメリカに行く事になった。
園子は特に舟に厳しくてね…
アメリカで生活するためには、心も体もアメリカ人になる事を舟に強要した。
舟はおっとりした性格で本当に優しい子だったから、園子のそんな教育を心配した私達がアメリカへ渡ったのも事実…」