イケメンエリート、愛に跪く



舟のおばあちゃまがそう言いかけた時に、隣で大きな咳払いが聞こえた。
おじいちゃまがおばあちゃまを見て、首を横に振っている。


「愛ちゃん、結婚とかはどうでもいいんだよ…
僕達は、愛ちゃんがいつまでも舟の友達でいてくれればそれだけでいい…」


おばあちゃまはバツの悪そうな顔をして、隣で肩をすくめている。
でも、きっと、心の中では二人とも舟と愛の結婚を夢に見ている。

それは口には出さないように、そうじゃないと舟に怒られてしまうから。


愛は笑顔で頷いた。
大好きな二人に本当は幸せになってもらいたい。
愛は逃げずに舟との関係をちゃんと考える事を心に誓った。




「ただいま~、おばあちゃん、大好きな苗を買って来たよ」


思っていたよりも早く帰って来た舟に、皆、目を丸くした。
舟は、苗とは別に、珍しい綺麗な花の鉢も買ってきている。


「この花、昔、日本の家の庭で見たような気がして買ってきたんだ。
おばあちゃん、この花何て名前だったっけ…?」


舟はいつまで経っても可愛い少年のままだ。
そして、そんな貴重な少年の姿を知っている愛は、舟を守りたいという少女の頃の思いを思い出していた。

本当に可愛かった舟君…
それは今でも変わらない…










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