イケメンエリート、愛に跪く
「ありがとうございます…」
愛はそう言うと、おじいちゃまのワイングラスに自分のグラスを合わせた。
カチンという音の向こうに舟に似た舟のおじいちゃまの笑顔が見える。
「舟が、何か愛ちゃんを困らせてるんじゃないかな…?」
愛はまた泣きそうになる。
愛が何も言えずに黙っていると、舟のおじいちゃまは困ったように微笑んだ。
「舟は、子供の時から、愛ちゃんの事になると感情的になるんだ。
愛ちゃんの事が好き過ぎて、いつもは大人しい舟が、よく笑ったしよく泣いた。
でも、舟の言葉に決して嘘はない。
特に、愛ちゃんに限ってはね…
でも、もし、愛ちゃんが舟の愛情を重く感じたりしているのなら、それはそれでしょうがないよ。
もう大人の二人だ…
お互いでよく話して考えなさい、二人の未来を…」
愛は舟のおじいちゃまの顔を瞬きもせずに見ていた。
瞬きをしたら涙が出てしまうから…
「あ、舟君のおじいちゃま…
今夜はこんなに素敵なパーティを催してくださってありがとうございます。
たくさんの花々がいたるところに飾られていて、昔の舟君のおじいちゃまとおばあちゃまの家のリビングみたいって思っちゃいました。
私、あの家のリビングもお庭も大好きだったので…」