イケメンエリート、愛に跪く



愛のその言葉に、舟のおじいちゃまはフフッと優しく笑った。


「実は、黙っててって言われたんだけど…

このパーティの企画構成をしたのは、全部舟なんだ。
部屋の飾り付けもここの使用人にデザインに描いて指示してたくらい。

最後の最後まで、愛ちゃんの喜ぶ顔が見たいんだってさ…
僕は小さい時から愛ちゃんの喜ぶ顔を見るのが大好きなんだって。

僕と家内はそんな事言われなくても知ってるよって、大笑いしたんだけどね」


愛はおじいちゃまの話を聞きながら、テラスの向こうでおばあちゃまと話している舟をジッと見つめた。
今、きっと、二人の気持ちは絶頂を迎えている。
私だって、こんなアラサーの女じゃなければ、何も考えず舟の胸に飛び込んだ事だろう。

おばあちゃまに柔らかい笑顔を浮かべる舟を、愛はまだ見つめている。
きっと、舟は、私を待ってはくれない…
三日後の舟の出発は、私にとっても舟にとっても、最初で最後のチャンスだ。
私がロンドンへ行かなければ、きっと永遠の別れになる。

舟は優しいけれど残酷な男…
舟を知る周りの人達は皆が口を揃えて同じ事を言う。

私はまだそんな舟君の姿を知らないけど、きっと、いや、絶対に、私がロンドンへ行かなければ私はそんな舟君を知る事になる。

その日を逃したら、舟君は私を忘れるだろう…







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