イケメンエリート、愛に跪く



舟は息が続かなくなって、夜空が映る水面へ勢いよく顔を出した。
水から顔を出した先に、愛がプールサイドに立っているのが見える。

水面から反射する光に照らされた愛の立ち姿は本当に美しい。
パーティ用に着ていた愛のノースリーブの白のワンピースが、夜の深い紫色によく映える。
髪をアップにまとめむき出しになっている愛の首筋に、舟の瞳は釘付けだった。

僕はきっと夢を見ているのかもしれない…
愛ちゃんが、金色に輝くプールに佇む天使にしか見えないから…

舟はプールから出て愛の目の前に立ちはだかった。

もう、僕は決めた…
誰が何と言おうと、愛ちゃんの心が僕を咎めようと、僕は必ず愛ちゃんを僕のものにする。

自分に嘘をつきたくないんだ…
日本へ来る前に漠然と思った事は、愛ちゃんは僕が幸せににするという事だから。

舟は濡れたままの体で愛を引き寄せ、もう何度も重ね合わせた愛のくちびるにこれ以上にない程のキスをする。
愛を必ずロンドンに連れて行く。
まだ何も策は思いつかないけれど、愛のくちびるに自分の全ての思いを記憶づける。

舟君がいないと生きていけないって体中が思い出すように、舟は愛の全ての肌という肌にキスをした。


愛ちゃん、僕は失敗したくない…
愛ちゃんを甘やかすほど愛してあげられるのは、きっと僕しかいないよ。

そんな事を考えながら、舟は愛を抱え、ベッドへ連れて行く。

二人きりの夜は今夜で最後だから、気の済むまで愛を確かめ合おう…
答えを出すのはその後でもいいだろ…?








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