イケメンエリート、愛に跪く
舟は黙ったままその質問をスルーする。
ジャスティンにもう帰ると言った時、また後ろで映司の声がした。
「愛ちゃんは可愛くて美人さんだから、俺が舟の代わりに面倒をみてやるよ。
だから、心配しないで、ロンドンへ行ってらっしゃい」
舟は自分が一番よく分かっていた。
心にこれっぽっちも余裕がない事を…
愛の両親に会って、自分の事や愛とのこれからをちゃんと伝える事ができた。
愛の両親はすごく喜んでくれたけど…
「舟君、僕達は本当にそうなってほしいと願ってる…
でも、決めるのは愛だから…
あの子は変なところで頑固なところがあって、僕達の説得が上手くいくかどうか…
舟君、できれば長い目で見てやってほしい…
舟君がそうしてくれるのなら…」
明日の事など誰も分からない。
いや、一分先の事も人間という生き物は分かる事はできないのに。
そんな僕に投げかけた映司の言葉は、僕のスイッチを押してしまった。
「映司、余計な事を言うなよ」
そう言うジャスの言葉がまた腹が立った。
その先の事は覚えていない。
誰かをなぐったのか、落ち着かすためにまた飲まされたのか…
目を覚ましたらこの有様だ。
僕はもう以前の僕には戻れない。
愛ちゃんが側にいないと、自分らしささえ分からなくなる。
愛ちゃん、必ず、空港に来て…
もう僕は、抜け殻のようだよ…