イケメンエリート、愛に跪く
でも、今の愛の目は何かを企んでいるそんな目をしている。
「そ、その、あのね…
美弥ちゃんとタロウさんのお部屋を、別々に取ったんだけど、もし、あれなら、いや今から一緒の部屋に変更してもいいかな?なんて思って…
余計なお世話だったらごめんね」
舟は完全に余計なお世話だと思った。
「愛ちゃん、そのままでいいんじゃないかな…?
もう、二人とも大人なんだから、そこまで僕達が介入する話じゃないよ」
舟はタロウが見れなかった。
あんなにクールで有能で寡黙なタロウが、どんな表情をしているかなんて見るのが怖い。
でも、愛は舐めるように二人を見ている。
愛ちゃん、それもどうかと思うけど…
「愛さん、ありがとうございます。
わ、私達、まだ、そんな完璧な仲ではないので…」
美弥の目に涙が溢れ出す。
舟は面倒くさ過ぎて天井を仰いだ。
自分の恋愛はさておいて、人の恋愛ほどくだらないものはない。
舟は、愛以外の事柄には、やっぱり冷たい本性が顔を出す。
「タロウさん、ホテルまで送って行くから」
舟は同じように困っているタロウにそう言って、助け船を出した。