イケメンエリート、愛に跪く
舟は美弥とタロウをホテルで降ろし、明日、指定の時間に迎えの車をよこすとタロウに伝えて、二人と別れた。
愛はまだ美弥と話しがしたかったのか、少し機嫌が悪い。
「愛ちゃんは、明日、主役なんだから、今日はゆっくり休まなきゃダメだよ」
舟はそう言いながら、右手で愛の手を握りしめる。
「だって、美弥ちゃんが悩んでるみたいで…
ほら、タロウさんって分かりづらいでしょ?
力になってあげたいな~なんて思っただけ…」
舟はホノルルの観光客の多さにうんざりしていた。
早く田舎の方に抜け出したい。
近道を見つけ急カーブを切った後に、横目で愛の顔をチラッと見る。
「でも、タロウさんが美弥ちゃんと一緒にハワイに来ただけで、答えは出てるんじゃないかな。
あのタロウさんが、ハワイに来るなんて、僕は夢にも思わなかったからさ」
愛は少しだけ納得したようで、舟の手を優しく握り返した。
「舟君、私、明日の結婚式にブーケトスを入れてもらったの。
家族だけで、それにおじいちゃまのお庭でする結婚式だから、そんなの必要ないのかもしれないけど、
せっかく来てくれた美弥ちゃんに、ブーケを投げて渡したい」