イケメンエリート、愛に跪く



「この記者さんは、僕が呼んだんだ。

柏木愛は、あんな事件があった後に、離れ離れになった幼なじみと再会して、今日幸せな結婚式を挙げるという記事を書いてもらう。

僕のプロフィールも書いてもらって、しばらくは外国で幸せに暮らすとも書いてもらう。

きっと、日本には、愛ちゃんを愛しているファンの人達もいると思うんだ。
そういう人達にも、愛ちゃんの幸せな姿を見せてあげたいし、世間の人達にも愛ちゃんの今を知ってもらいたい。

別に逃げたり隠れたりする必要なんかないんだ。

僕達は堂々と幸せにならなきゃ… ね?」


舟はそう言って、愛に軽くキスをする。
そして、その記者にお願いしますと言った。

記者は皆に一礼してから、愛と舟の写真を撮った。
舟の祖母が育てた花で作ったブーケが、愛の美しさによく似合っている。

一通り写真を撮った記者は、舟の顔を見てから皆に向かってこう言った。


「僕が責任を持って、愛さんと高市さんの幸せな結婚式の記事を、世間に配信します。
絶対、悪いようにはしません」


そう言って、もう一度皆に一礼をした。


ソフィアはそんな一連の出来事を見ながら、一人でクスッと笑った。
舟の事だから、相当なほど、この記者にプレッシャーをかけたに違いない。
舟のやる事はいつも完璧だ。
それがいい事なのかどうかは判断しかねるけれど…




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