イケメンエリート、愛に跪く
「はい、じゃ、皆さま、注目してくださいね~
愛ちゃん、皆でカウントダウンするから、ゼロになったら投げてね」
舟の嫌な予感はマックスに達している。
愛の尋常じゃないほどの緊張感がこちらにも伝わってくるから。
5、4、3、2、1…
愛はゼロを待たずに上へ放り投げた。
それも途方もないほど遠くに…
舟は愛が投げた瞬間、美弥に虫取り網でも持たせていればとバカみたいな事を考える始末だった。
遠く放たれたブーケは美弥の頭上を越え遠くに飛んで行く。
「取りました~~」
あっけにとられている皆の耳に、そんな声が響いた。
真っ先に美弥が振り返ってみると、そこにはブーケを握りしめたタロウが立っている。
タロウは美弥の元へ駆け寄り、はいと渡した。
何だかその光景が幸せ過ぎて、愛はまた泣いた。
まるで、自分のコントロールの無さなんて忘れたかのように…
舟の弟達がふざけてキス、キスとコールを始める。
舟は弟達にそんな事言っちゃダメだと言いに行こうとすると、舟の全てのイメージを覆すようにタロウは美弥に濃厚なキスをした。
タ、タロウさん…??