イケメンエリート、愛に跪く




舟は、凪の腕の中に抱かれている舞衣にウィンクしてそう言った。


「僕の母さんは、東京大学に在学中に、その時つき合ってた恋人との間に僕を作った。
頭の良かった母さんは結婚とかそういうものには興味を持たず、僕をシングルマザーとして育てた。
ま、実家の親にほとんど僕を預けてだけどね。

その後、母さんはハーバード大学に入学し直して、僕は日本の祖父母の家で五歳まで育った。
そして、ジョージと知り合った母さんは結婚して、僕もそれからはアメリカ人として育ったんだ」


舞衣は感心して聞いている。
ソフィアの行動力も凄いけど、そんな中で素直に育った舟も凄い。


「今や、舟は、世界的一流企業“EARTHonCIRCLE”の御曹司だからな。
舞衣、だからといって、舟に惚れるなよ」


舟は馬鹿らしくて鼻で笑った。
こんなラブラブな二人にそんな事言われたくない。

でも、この凪がこんな風になるなんて…
舟が目の前にいるのにも関わらず舞衣を背中から抱きしめて座っている凪は、舞衣に首ったけと歌でも歌い出しそうだ。


そんなこんなでニューヨークに友達がいない舞衣のために、舟はことある事にこの家を訪れた。
日本をしばらく離れている舟にとって、舞衣の話は今の日本の状況を知るには最高に面白かった。












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