イケメンエリート、愛に跪く



あ、舟君のおじいちゃまとおばあちゃま…

その中の一つの写真に家族の合同写真があった。
真っ青な空の下、個人の家の専用プールの前で舟の今の家族と思われる人達が笑顔で写っている。

最近写した写真かな…
だって、舟君は今と全然変わらない…

でも、愛は舟を挟んで座っている老夫婦に目が釘付けだった。

舟の祖父母は愛の実家の近所に住んでいた。
おじいちゃまの方は国立大学の教授をずっと務めていて、定年が来てからもたまに講師として大学に通っていた。
おばあちゃまは完全な専業主婦で、庭に咲くたくさんの花をいつも手入れしていたのを覚えている。

舟君のお母さまはこの地域では有名な容姿端麗な才女だった。
愛の両親は、ことある事に舟のお母さまの話をしてくれた。

「園子さんと同じ学校だったっていう事は、ママとパパの自慢なの」と…


そんな家族の元で育った舟は、利発な上に聡明で穏やかな子供だった。
お母さまとアメリカへ引っ越してからは、特に聡明さが際立った。
夏休みだけ日本に帰ってきて、オール日本語で会話をする事が楽しくてしょうがないと、いつも言っていた。
そして、帰って来る度にアメリカの色々な話をしてくれた。
私は舟君が本当に好きだった。
舟君がアメリカへ帰る時は一晩中泣いてしまう程に…


写真の中にいる舟君のおじいちゃまとおばあちゃまは、私の事を覚えていてくれるかな…?



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