イケメンエリート、愛に跪く
…コンコン。
愛は慌てて写真を元の場所に戻した。
やっと舟が戻って来てくれたと思いホッとして後ろを振り返ると、舟でもないジャスでもない、またもう一人のイケメンがドアの前に立っている。
愛が目をパチパチさせていると、黒髪を後ろで束ねたメガネ王子のイケメンは控えめに笑った。
「初めまして、子猫ちゃん。
僕は、前田謙人と言います。
舟の友達って聞いて野次馬で見に来たんだけど、すごい美人さんで驚いた。
舟とは本当にただの友達なの?
本当に友達なら、僕とつき合おうよ。
僕は君ならいつでも大歓迎だよ」
愛は初対面の抜群のイケメンにそんな風に言われ、社交辞令と分かっていても何だか胸がときめいている。
でも高校生のように顔を赤らめるわけにはいかない。
愛は大人の女性の雰囲気を必死に醸し出して、軽く会釈をした。
「謙人~、穏やかな舟君の目が釣り上がっちゃってるよ~
舟の大切な友達を口説いちゃだめじゃないか~」
いつの間にか、ジャスも舟も社長室に来ていた。
ジャスの言葉に、愛は恥ずかしそうに下を俯く。
舟は愛の隣に来て、肩を力強く引き寄せる。
「今はまだ大切な友達だけど、ほんのちょっと先の未来はもう恋人になってるから…
だから、謙人、そんなくだらない事二度と言うな」