イケメンエリート、愛に跪く
「舟さんは、日本には友達はいないの?
小さな頃の仲良しとか…」
舟は恥ずかしそうに俯いた。
「いる…
でも、勝手に僕が思ってるだけなんだけど」
舞衣は照れて笑顔を見せる舟をずっと見ていた。
日本人とアメリカ人のいい所だけを持ち合わせている舟の性格は、とても魅力的だった。
いつも笑っているように見える癒し系の顔、レディファーストが自然と身に付いているスマートな立ち振る舞い、180cm以上ある体格と幼い顔とのアンバランスさは女性の母性心を刺激した。
それでいて、凪の話では、本当の舟は俺様な性格??
その俺様的な舟だけは、舞衣は想像がつかなかった。
「僕は五歳でアメリカへ来て、でも、10歳までの夏休みは、東京の祖父母の家へ帰省してた。
祖父母の家の近所に住んでいた愛ちゃん…
その子が僕の初恋の人なんだ」
舟は幼い頃の日々に思いを馳せていた。
夏休みに日本に帰省するのがどんなに楽しみだったか…
「今でも忘れられないって事は、相当可愛い子だったんだね?」
舞衣はそう言いながら、舟の腕をツンツンと突いた。
今日は凪はこの家にいない。
舟は、わざと凪の居ない間に訪れている。
凪なしで舞衣と話す方が楽だし楽しかったから。