イケメンエリート、愛に跪く
「…え? あ、うん」
愛は舟の淡白な言葉に少し落ち込んだ。
自分がそう仕向けたはずなのに…
「愛ちゃん、くだらないね…
僕から言わせれば本当にくだらないと思うよ。
僕達が会えずにいた過去にどんな事があったとしても、それは全く関係ないし意味のない事なんだ。
それより、僕達は今こうして再会した。
これから先の未来が大事だろ?
愛ちゃんの心の傷が癒えていないのならその傷を僕が治してあげたいと思うし、楽しいとか嬉しいとかハッピーとかそんな風に思える時間をたくさん作ってあげたいと思う。
何も難しい事じゃないよ。
愛ちゃんは僕と一緒に時間を過ごせばいいだけの話」
舟はそう言うと、愛においでと手招きをした。
愛はどうしていいか分からない顔で、でも、とりあえず舟の隣に立つ。
「愛ちゃんは、今、一番に何をしたい?
あ、僕が一緒にいる事が限定だけど…」
舟ははにかみながら、愛の顔を覗きこんだ。
愛はしばらく考え込むと、小さくため息をつく。
「舟君にとっては、あまり楽しくない事かもしれないよ…」
舟は肩をすくめて目をぐるっとさせる。
「全然いいよ。何でも言って」
舟はそう言いながら、愛の左手を自分の右手で優しく包み込んだ。
「舟君の話が聞きたい…
舟君のおじいちゃまとおばあちゃまの話や、舟君がどうやってこんなに素敵なイケメンエリートに成長したのかとか、いっぱいいっぱい聞きたい」