イケメンエリート、愛に跪く



舟は、愛の左手の甲に優しくキスをする。


「OK、my sweetheart.

じゃ、二人っきりになれるお洒落なレストランで美味しいディナーを楽しみながら、たくさん話をしよう」


「え? 凪さんのマンションじゃ…」


舟はまだ握っている愛の手を自分の元へ引き寄せた。


「凪の家はまた今度にしよう。

今の愛ちゃんは、ちょっと外に出た方がいいと思うんだ。
一人じゃ怖いかもしれないけど、僕がいるだろ?

だから、大丈夫だよ」


舟は立ち上がり、目の前に立つ愛を思わず抱きしめた。
アメリカ式の挨拶を兼ねたハグとは違い、湧き出る感情に身をゆだねた抱擁だ。


「愛ちゃん…

もし、僕が愛ちゃんの愛を欲しがり過ぎてわがままばかり言うようになったら、昔のように叱ってほしい。

舟君、ここは日本なんだからそんな事通用しないんだよって…ね?」


舟に抱きしめられながら愛はクスッと笑ってしまった。


舟は小さい時から、こうやって私に愛を囁いてくれる。
でも、大人になった舟の言葉は、社交辞令なんかじゃないのは分かっている。

愛はその言葉を噛みしめた。
私はきっと舟に溺れていくだろう…

舟君…
この流れに私は身を任せてもいいのかな…?



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