イケメンエリート、愛に跪く
舟はタロウに電話をした。
日本をいや東京の街を全く知らない舟にとって、タロウは最高に頼もしい相棒だ。
というのも、全部、舞衣のおかげだった。
凪が僕にマンションと車を貸す事になったのも、タロウさんを紹介してくれたのも、全て舞衣が仕切ってくれた。
僕はちゃんと分かっている。
舞衣は僕と愛ちゃんが無事に結ばれる事を願っている…
そして、心優しい舞衣は、愛ちゃんと僕は切れない赤い糸で結ばれているとそう信じている…
「タロウさん、お願いがあるんですけど…
車で行ける範囲のお店で、お洒落な個室があるレストランを、あ、もちろん食事も美味しくて。
はい、お金はいくらかかっても大丈夫です。
何なら、お店を貸し切ってもいいですので…」
愛は口をあんぐり開けてその会話を聞いていた。
電話を終えた舟は、時計を見て愛に行くよと目で合図する。
「しゅ、舟君…
そんなお店を貸し切らなくても大丈夫だよ…
私、そんなに弱くない」
舟は愛の驚いた顔を見て、目を細めて笑った。
「愛ちゃんのためだけじゃないよ。
僕と愛ちゃんの18年ぶりの再会を祝うんだ。
最高のシチュエーションで、二人の再会に乾杯したい。
もう僕達は子供じゃない…
立派な大人なんだから…」